【11】おわりに
いかがだったろうか?
“頼り無さそうな”内山さんを迎えて、佐藤さんを筆頭とするX社の面々が様々な観点の議論を繰り広げてきたが、“概念DOAの雰囲気”だけでも感じ取っていただけただろうか?
この中の事例を読んで、「ウチでも似た様なことがあった」と思い当たるところがあれば、概念DOAを取り入れる余地があると言うことになろう。
ただ、もしも「概念DOAを取り入れてみよう」とお考えの方がいらっしゃるのであれば、一つご注意頂きたいことがある。
概念DOAが最終的に求めるところは「管理対象とそのデータ項目に関する定義の“全社”共有」という点にあるが、いきなりこの到達点に行こうとするのは、あまりに無謀である、ということだ。
会社の歴史の中で発生した“文化”は、新しい“コンセプト”をそう簡単には受け入れてくれるものではない。
従って、概念DOAをいきなり全面的に取り入れようとすると、大抵は“失敗”を味わうことになるが、この様な“導入方法の失敗”が「概念DOAは使えない」という評価に直結してしまうことを、筆者は最も恐れるものである。
そのためにも、まずは「できるところ(できるレベル)から始める」ことが肝要と言えよう。
皆さんのご健闘をお祈りしたい。
なお、本書の執筆にあたっては、椿正明氏、長谷川泰司氏に多くの貴重なアドバイスを頂いた。 最後にあたり、謝意を表したい。