【4】Accessでの構成要素
あくアク流の背景には、概念DOAの考え方があります。
Accessを使用した業務システムツールを構成する要素と要素間の関係にもこの考え方が反映されています。
今回は、この辺をご紹介します。
概念DOAにおける業務システムの構成要素
概念DOAでは「業務システムは“データ”、“情報”、“入出力”の3種の要素で構成される」と考えています。
データ
データは「個々の業務データ項目の値を管理する“場”」と考えられます。
情報
情報は「データベースに保管されているデータ項目値の内、使用される個々の業務目的に合うものを取り出し組み合わせられたもの」と考えられます。
入出力
入出力は「情報としてまとめられたデータ項目を、画面や帳票といった“人間の目に映るもの”に配置し表示 したもの」と考えられます。
データ
データは「個々の業務データ項目の値を管理する“場”」と考えられます。
たとえば、
「社員である田中さんの、
データ項目“社員氏名”のデータ項目値は“田中 一郎”、
データ項目“社員電話番号”のデータ項目値は“03-1234-5678”」
とか
「社員である佐藤さんの、
データ項目“社員氏名”のデータ項目値は“佐藤 順子”、
データ項目“社員電話番号”のデータ項目値は“047-321-9876”」
といったもので、これらのデータ項目値がいわゆるデータベースという“場”に管理されています。
この“場”では、画面や帳票といった“個々の作業目的”は意識せず、そのデータ項目が関連付けられている管理対象ごとにまとめられて保管されています。これは「仕入れ先から納品された個々の部品を、(個々の部品が、どの製品で使用されるかは意識せず)部品の種類ごとに“倉庫の棚”に置いておく」といったものをイメー ジされると良いと思います。そして、この“倉庫の棚”に当たるものが“データベース内のテーブル”なのです。
情報
情報は「データベースに保管されているデータ項目値の内、使用される個々の業務目的に合うものを取り出し組み合わせられたもの」と考えられます。
たとえば、
「“社員の氏名一覧”が必要であれば、
データ項目“社員氏名”のデータ項目値だけを取り出し、
“社員氏名”の順に並べたもの」
が情報となり、
「“社員の電話番号一覧”が必要であれば、
データ項目“社員氏名”と“社員電話番号”のデータ項目値を取り出し、
“社員氏名”の順に並べたもの」
が情報となります。
これは
「製品Aを組み立てるために、
部品aと部品bを倉庫の棚から取り出して組み立て用に箱Aに入れ、
製品Bを組み立てるために、
部品aと部品cを倉庫の棚から取り出して組み立て用に箱Bに入れる」
といったものをイメージされると良いと思います。そして、この“組み立て用箱”に当たるものが“情報”なのです。
入出力
入出力は「情報としてまとめられたデータ項目を、画面や帳票といった“人間の目に映るもの”に配置し表示したもの」と考えられます。
ただし、ここでいう入出力は概念(“目的”指向)ですので、たとえば、
「データ項目数が多いので、
基本的な項目を一覧画面表示し、
この中から選択された一つに対して、
他の表示しきれなかった項目を別の画面に表示させた」
という複数の画面で構成されたものであっても、一つの入出力とみなしますし、逆に
「使用目的の異なる複数の画面が似通っているので、
これを一つにまとめた」
という本来は別々の画面を一つにまとめた画面であっても、個々の使用目的に合わせて別々の入出力とみなします。
これは
「組み立て用に箱Aの部品を組み立て、製品Aを作製し、
組み立て用に箱Bの部品を組み立て、製品Bを作製する」
といったものをイメージされると良いと思います。そして、この“製品”に当たるものが“入出力”なのです。
あくアク流におけるAccess業務システム・ツールの構成要素
こうした概念DOAの構成要素を意識して、あくアク流では「業務シスム・ツールは“テーブル”、“クエリ”、“フォーム/レポート”の三種類の基本要素で構成される」と考えています。
この三種類の基本構成要素に、画面間の移動などの操作を自動化するため“マクロ”を加え、四種類の構成要素を組み合わせて、業務システムツールを作っていきます。